第一章 消える景色

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「どうしたの?征響?」  俺がきょとんとしていると、征響まで俺の顔をタオルで拭いていた。 そうか、俺が泣いていたのが、あんなに遠くから見えたのか。 「撃たれた中学生が……」 「須賀か……知っているよ。俺にも連絡が入って今から行くところだよ」  征響たちは、連絡を受けて、練習を早く切り上げてきたという。 「残念で悔しいよ……」  征響は、部屋に鞄を置くと又玄関にやってきた。 「弘武も制服に着替えろ。湯沢も着替えて来い、一緒に行こう。 佳親はもう行っているらしい」  制服に着替えるのか。 でも、久芳の母屋で狙撃されてしまったのだ、正式な服装で挨拶したほうがいい。
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