第一章 消える景色

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「はい」  しかし、途中で倉吉と秋里と合流して、行った先には黒い提灯が下がっていた。 「……これ、何?」 「弘武?何を聞いていた?須賀は、一時間くらい前に息を引き取った。 病院から家に帰って来るというから、通夜の前に、会っておこうと話してここに来た」  では、俺は誰と会っていたのだ。 湯沢を見ると、同じように驚いていた。 「あの、久芳先輩。俺たち、先ほど、本人に会いましたよ」  良かった、俺の見間違いではない。 「そうか。息を引き取る前に、弘武に会いたいと言ったそうだ。 どうしてと聞くと、弘武を転ばせてゴメンと謝りたいと言った」  俺が、久芳家に引き取られて、最後の征響チームの天狗になった。 皆に可愛がられる俺を妬ましく思いながらも、 その生い立ちの悲惨さから恨めず、いつも見ていたという。
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