213人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい」
しかし、途中で倉吉と秋里と合流して、行った先には黒い提灯が下がっていた。
「……これ、何?」
「弘武?何を聞いていた?須賀は、一時間くらい前に息を引き取った。
病院から家に帰って来るというから、通夜の前に、会っておこうと話してここに来た」
では、俺は誰と会っていたのだ。
湯沢を見ると、同じように驚いていた。
「あの、久芳先輩。俺たち、先ほど、本人に会いましたよ」
良かった、俺の見間違いではない。
「そうか。息を引き取る前に、弘武に会いたいと言ったそうだ。
どうしてと聞くと、弘武を転ばせてゴメンと謝りたいと言った」
俺が、久芳家に引き取られて、最後の征響チームの天狗になった。
皆に可愛がられる俺を妬ましく思いながらも、
その生い立ちの悲惨さから恨めず、いつも見ていたという。
最初のコメントを投稿しよう!