第十四章 空き地の空(あきちのそら)

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 名護は部屋を懐中電灯で照らし、何もないと言った。 でも、ここには標本室とあり、棚もラベルも、何も無いのはおかしいのではないのか。  廃墟にする前に片付けたという事も考えられるが、 それは、真っ当な実験や治療をしていた場合だ。 「ここのシリーズは、どうも壁の裏に何か隠しているらしい」  同じ人が細工をしたので、似たようなカラクリになったと思う。 壁を叩くと結構軽い。俺は、思いっきり壁を殴った。 「……思いっ切り殴らなくても良かったみたいですよ」  壁は開いたが、俺が殴った後ろのビンは割れ、変な匂いが充満していた。
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