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ビンにはラベルと日付が貼られていた。
中に浮いているのは、何なのか分からない。
密封状態が悪かったのか、液体が無くなり、ミイラか干物になっているビンもあった。
ここの病院で、隠さなければならない標本となれば、これは胎児であろう。
「……見事に兎人ですね」
長い耳の人間の胎児であった。角が生えているものもある。
俺が手を振って隠していたので、名護は俺の手を取って拳に消毒液を塗ってくれた。
「殴るのは、藤原先輩の十八番でしょう。慣れない事はしないでください」
しかし、名護はいつも薬など持って歩いているのか。
「その薬は、いつも持っているの?」
名護は、自分の手をみて首を振った。
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