第十四章 空き地の空(あきちのそら)

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「途中にあった物ですよ」  そんな物で治療しないで欲しい。 俺が慌てて、名護の持っていた瓶を見ると、使用期限が二十年前に切れていた。 「名護……」  名護は、瓶を見て笑いながら、絆創膏を貼ってくれた。  名護とビンに入った標本を確認していると、征響と藤原も下に降りてきた。 秋里と倉吉は、穴から飛び降りてきていた。 「ちゃんと弔ってやりたいですね」  秋里は、ビンを手に取って光に透かしていた。 その子供には、ヒレが付いていた。 哺乳類だけではなく、他の生命体でも試していたのだろうか。 「イルカもクジラも哺乳類でしょ」  俺の心の声が聞こえたのか、秋里が訂正してくれた。
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