第十四章 空き地の空(あきちのそら)

6/27
前へ
/352ページ
次へ
 廃墟の映像を相澤に送ってみると、後は警察に任せるようにと、いつもの回答がきた。 この標本は、犯罪では問えないであろう。  ビンの子供は、皆、生まれても生きる事ができなかった。 無理な進化は滅びるということなのか。  藤原は、ビンを一つ一つ取っては、丁寧に映像で記録を残していた。 何に使用するのか分からないが、先ほどの壁の資料と合わせると、 何か分かりそうな気もする。 後で、藤原の携帯電話から自分の端末に、勝手に送信しておこう。 「印貢先輩、標本ってこれだけでしょうか?」  俺は、他の壁は殴りたくない。 壁にバツをつけ、名護に殴れと指で合図してみると、藤原が殴ってくれた。
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!

213人が本棚に入れています
本棚に追加