第十四章 空き地の空(あきちのそら)

8/27
前へ
/352ページ
次へ
「藤原、仕事!」  記録撮影は藤原に任せると、俺は他の壁の音をきき、ここにはこれ以上は無いと判断する。 「名護、他に変な部屋はあった?」 「あと一つあります」  名護の感に頼ろう。 俺が名護に連れられて部屋を出ると、藤原の苛立った舌打ちが聞こえていた。 「いいのですか、藤原先輩、かなり怒っていますよ」 「ここは、藤原がいない方がいい」  やはり、名護が気になったのは手術室であった。 部屋に入ると、違和感がある。とにかく狭い。 「名護、少し外に出ていてね」  ここの壁は厚いが、この一方の壁だけが新しいのだ。
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!

213人が本棚に入れています
本棚に追加