第十四章 空き地の空(あきちのそら)

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 倒した壁の中には、本当の手術室があった。 しかし、何の手術であったのか、大工道具のような物も多かった。 いいや、手術室というよりも、拷問室であった。 「まあ、これは、意味はないよね」  見てはみたが、拷問室であったのならば、それはそれでいい。 「では帰ろう」  ここで何があったのか、だいたいは想像できた。 「名護。今度、母さんの墓参りに行くからさ、一緒に行くか?」  深い意味はないが、魚料理のおいしい土地なので、エビフライを食べさせたい。 巨大な伊勢海老でフライになっていて、結構おいしい。 「……いいのですか?」 「うん、俺の四区の対なのだろ。母さんに紹介したいしね」  そこに藤原が入ってくると、固まっていた。 拷問道具に固まったのではなく、俺のセリフに固まったらしい。
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