第十四章 空き地の空(あきちのそら)

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「はいはい、藤原で車を出しましょうか?お姫様」  お姫様ときたか。 藤原も、俺を怒らせるツボが上手い。 「……名護と二人で行こうかな……」 「分かった。ゴメン」  藤原は拷問室を見ると、顔をしかめていた。 藤原は、拷問などが大嫌いでもあった。 自分は吐かせるためには手段を択ばない時もあるというのに、他者がすると怒る。 「人間で実験するというのは、やはり、間違っているよね」  生き物で実験するというのが、間違っている。 人体実験で人類は進化などしない。 誤った方向に行けば、滅びるだけなのだ。 それは、左々や須賀を見ていれば分かる。 生命として生まれたのに、何も残せない悲しみを、この実験者は知って欲しい。
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