第一章 消える景色

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 グランドは関係ないので、練習を続けていいのだろう。 隣のクラスで同じサッカー部の湯沢に声を掛けようとすると、 その前に、同じクラスの有明に捕まっていた。 「試験中は、サッカー部の練習は中止だってさ。 車の出入りが多くて、一部グランドも駐車場にするらしい」  グランドに車を入れないで欲しいが、公立高校の惨めさで、 今ある物で済ませるのだ。 後でグランドの整備がどれだけ大変かなど、考えてもくれない。  俺、印貢 弘武(おしずみ ひろむ)は公立高校の一年生であった。 季節を外して入部したサッカー部では雑用扱いされている。  でも、明日も練習は休みなのか。 ゆっくり洗濯をして、いつもとは違うスポーツ用品店に行きたい。
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