第一章 消える景色

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 しかも、天神の森駅からは、港駅へは一本で行ける。 「湯沢、明日練習休みだから、港駅のスポーツ用品店に行かないか?」  湯沢は俺の家の隣であった。 「そうだね。俺も、あれこれ買いたかったし、いいよ」  俺が一人で買い物に行くと言うと、保護者である佳親(よしちか)が許可を出さない。 湯沢が一緒に行くと言えば、許可も出るだろう。 「ねえ、そこで、どうして俺を誘わないの?」  有明の家は、路線が違う。 港駅まで来てくれと言ったら、ちょっとした旅行になってしまう。 「遠いから」  その日も準備のためと言う理由で、グランドに入る事ができなかった。 「湯沢、帰ろう」   練習しないで帰りとなったが、少し気になって、私立高校の練習を見に行ってしまった。 徒歩圏内にある私立高校のサッカー部は、全国優勝を狙える強豪であった。
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