第一章 消える景色

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 私立は一貫校となっていて、大学生も練習に混じる。 金網超しに見ていると、一人が俺の方を向いた。 「印貢、練習はどうした?」 「倉吉先輩。俺たちの高校は、資格試験の準備中とかでグランドに入れません。 もう帰りです」  倉吉は走って来ると、金網超しに俺の腕を掴んだ。 「一緒に練習していけ」  金網超しに腕を掴まれても、通り抜ける事はできない。 「他校が練習に混じったらまずいでしょう」  腕を振り切って逃げようとすると、倉吉に睨まれていた。 「来い!今、征響を呼んでやるから」  征響が来ると、更に話がややこしくなる。 俺は、ただ私立の練習はどうなのか見たかっただけだ。 体験しようとも思っていなかった。
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