第一章 消える景色

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「ここ、部外者立ち入り禁止でしょう」  口論しているのも目立つ。 グランドで幾人かが、こちらを見て何か話していた。 「だから許可は取ってやるから」  倉吉も引かない性格なのだとは知っている。 俺は諦めて、グランドへの入口を捜した。 「フェンス越えて来い」  倉吉は簡単に言うが、このフェンスはニメートルはある。 「……はい」  路上でジャージに着替えてしまうと、フェンスを飛び越えてみた。 「お、やるねえ」  倉吉は楽しそうに俺を待っていた。 巻き添えをくって湯沢も、フェンスを乗り越えてグランドに入った。 「征響の弟だよ、これ」  だいたいのメンバーは、試合観戦の時に俺を見て知っていた。
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