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「私は奈々の親友で同僚の清水有紀。キミは一体誰? 奈々とどういう関係? っていうか歳はいくつなのかな?」
怒涛の質問攻め――青は顔を引きつらせながら私に目を向けてくる。
お願い青、ここはあんたのアドリブでなんとか切り抜けてっ!
目線だけでそう伝えると、私の意をくみ取ったのか、彼は自信満々に小さく頷いた。
「僕は……僕は奈々の息子です」
終わった……。
「なにいってんの、坊や」
有紀は片手で青の頬をつまむと、彼の唇はタコさんのようにぷっくりと突き出した。
確かに有紀の追及は凄まじかったし、かなり顔が近かったのも事実だ。
16歳の少年にとってはさぞかし恐ろしかっただろう。
でもね、青……息子です、はないでしょ。
いくらテンパってたとはいえ、完全に支離滅裂じゃない。
私は出来の悪い我が子を悲しげに見つめながら、静かに溜め息を漏らした。
以上、回想終了――これが現在、私たちが親友の前で正座をさせられている理由であった。
お願いします。どうかこの苦境を無事に切り抜けさせてください……私は心の中でそう呟きながら、久しぶりに神様に祈りをささげた。
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