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「へい、お待ちー」
真鯛のカルパッチョに生ハムとルッコラのサラダ。そしてパスタはアマトリチャーナ。
出来立てのイタリアンが続々とテーブルに並ぶ。
見た目、香り共に上々だ。これは予想していた以上の出来栄えである。
さてさて、肝心のお味の方はどうでしょう。まずは、サラダをパクリ……。
「激ウマっ!」
「激ウマっ!」
私と有紀は同時に叫んだ。と同時に青はしたり顔を浮かべている。
そして労働で乾いた喉を潤すように、ワイングラスを傾けた。
「あんた、どうしてこんなに料理上手なの?」
「バイトで、ちょっとやってたから」
ちょっと? これはそんな生易しいものじゃない。
お金を取っても良いくらいのレベルだ……。
よしっ、これからはこの子に料理を作ってもらおうかしら?
などと、図々しい考えが頭をよぎる。作田奈々・28歳 相変わらずのぐうたら人間です。
「ねえ、青くん」
「な、なに?」
有紀が声をかけた途端、美少年シェフは素早く身構えた。
因みに先の一件から、青は女流空手家の半径1メートル以内には、絶対に立ち入らないようにしている。いわゆる動物的本能というやつだ。
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