先送りしてきた問題

6/7
前へ
/189ページ
次へ
「もう絶対殴ったりしないから、今度お姉さんのお家に遊びに来ない?」 「絶対にやだっ!」   青は即答すると、素早く私の背中に隠れた。怯えまくりである。 まあ、気持ちは分らないでもないけど。 それにしてもこの女だけは……私は目のまえで苦笑いを浮かべる親友を見つめた。   本気とも冗談ともつかないことを、さらっというんだから……いいや、恐らく7対3の割合でマジが優勢だろう。 「随分と嫌われたみたいね」 「私としたことが、ぬかったわ……こんな料理上手な美少年だと分っていたら、絶対に手なんてあげなかったのに」 「因果応報よ」 「ああ、出来ることなら時間を巻き戻したいわ」   有紀は溜め息交じりでいうと、豪快にグラスのワインを飲み干した。 その後、私たちは楽しい午後のひと時を楽しんだ。 因みにお酒の弱い青は、酔っぱらって現在では私のベットで寝息を立てている。 飲ませたのは、いうまでもなく私の親友であった。 「ねえ、あんたほんとにこの子に手出してないの?」 「当たり前でしょ」 「ふうん、当たり前ねえ……」 「な、なによ」 「別に……ただ私だったら多分やっちゃうだろうな、って思っただけよ」   有紀はワイングラス片手に、相変わらず寝息を立てている青の顔を覗き込んだ。 なんとも大人にあるまじき、素直なご意見であろう。 まあ、私も人のことをとやかくいえる立場ではないのだけど……。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1558人が本棚に入れています
本棚に追加