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「もう絶対殴ったりしないから、今度お姉さんのお家に遊びに来ない?」
「絶対にやだっ!」
青は即答すると、素早く私の背中に隠れた。怯えまくりである。
まあ、気持ちは分らないでもないけど。
それにしてもこの女だけは……私は目のまえで苦笑いを浮かべる親友を見つめた。
本気とも冗談ともつかないことを、さらっというんだから……いいや、恐らく7対3の割合でマジが優勢だろう。
「随分と嫌われたみたいね」
「私としたことが、ぬかったわ……こんな料理上手な美少年だと分っていたら、絶対に手なんてあげなかったのに」
「因果応報よ」
「ああ、出来ることなら時間を巻き戻したいわ」
有紀は溜め息交じりでいうと、豪快にグラスのワインを飲み干した。
その後、私たちは楽しい午後のひと時を楽しんだ。
因みにお酒の弱い青は、酔っぱらって現在では私のベットで寝息を立てている。
飲ませたのは、いうまでもなく私の親友であった。
「ねえ、あんたほんとにこの子に手出してないの?」
「当たり前でしょ」
「ふうん、当たり前ねえ……」
「な、なによ」
「別に……ただ私だったら多分やっちゃうだろうな、って思っただけよ」
有紀はワイングラス片手に、相変わらず寝息を立てている青の顔を覗き込んだ。
なんとも大人にあるまじき、素直なご意見であろう。
まあ、私も人のことをとやかくいえる立場ではないのだけど……。
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