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「それで、この子どうする気?」
「どうするって?」
「いつまでも、こんな生活してるわけにもいかないでしょ」
確かに有紀のいう通りだ。
いつまでも、こんなおままごとのような生活を続けてる訳にはいかない。
それに青の両親だって心配しているはずだ。
でもなんていって切り出せばいいの?
家出はもう止めて、実家に帰りなさい、とでもいう?
そんなありきたりなことをいっても、この子が素直に聞いてくれるとは思えない。
でもそろそろ先送りにしてきた問題を、考える時期にきている。
はてさて、どうしたもんかな……私はそんなことをぼんやりと考えながら、小さく溜め息を漏らした。
すると有紀が、いつになく真剣な眼差しをこちらに向けてくる。
なにごとだろう? と思いつつ私は彼女の言葉を待った。
暫しの沈黙。有紀は背筋をぴんと伸ばして静かに口を開いた。
「ねえ、奈々……一回でいいから、この子貸して」
前言撤回。この女、7対3どころか10対0でマジのようだ。
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