青と葵

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先日のひと騒動から数日が経過していた。相変わらず、青との問題は先送りのままだ。 未だになんといって彼を説得していいのか、その糸口さえ見えてこない。 会社のロッカーで帰り支度をしながら、私は小さく溜め息を漏らした。   明日は休日ということもあり、有紀たちは仕事を終えると合コンへと旅立っていった。 当然、私にもそのお誘いはあったが、丁重にお断りさせて頂いたのはいうまでもない。 何度となくいうが、人間とは学習する生物なのだ。 まあ、学習能力のない私がいっても、説得力0ではあるのだが……。   うわっ、寒っ! 会社を出ると、予想通り冷たい風が顔に吹きつけてきた。 今日はさっさと帰って、ゆっくりとお風呂で温まろう。 そして湯上りにビールを飲んで、ご飯食べて、テレビ見て、またビール飲んで……。   スヌードに顔を埋めながら、私はにやけ顔のまま小走りで駅を目指した。 すると背後から聞きなれぬ声に呼び止められた。
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