青と葵

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一緒に住んでる少年――いうまでもなく青のことだ。 でもどうしてこの人がそのことを知ってるわけ?  ひょっとして、私のことを調べたとか……あれ、ちょっと待って……このオジサマって弁護士よねえ。   もしかして青との不埒な一夜の出来事がばれて、私を訴えにきたとか?  それとも、それをネタに私にエロいことを要求するつもりじゃ……まあ、それはないわね。 あり得ない妄想が頭の中にどんどん広がってゆく。 すると川崎さんは、そんな私を諭すように静かに口を開いた。 「どうです? 貴女に私の誘いを断ることは出来ないと思うのですが」 「……分りました」   断ることは出来ない――たしかにこのオジサマのいう通りだ。 私は素直に頷くと、彼が誘う黒塗りの高級外車に乗り込んだ。 運転手つきの高級外車。これってたしかファントムじゃなかったけ?  超がつくほどの高級外車に体を預けるアラサー女。 やばい……座り心地、最高なんですけど。   それはそうと、さっき食事でもしながらっていってたわね……うんっ、これはそっちのほうも期待できるっ!  いやいやっ、いまは飯のことなんてどうでもいいだろがっ!  もう一人の私が心の中でツッコミをいれてくる。 そんな相方をなだめながら、私は窓から見える夜景を見つめた。
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