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到着したのは高級ホテルの、三ツ星フレンチだった。
たしかに期待した以上の高級店だけどさあ……はっきりいっていまの私の服装では、入るのにかなり勇気がいる。
っていうか、おもっきり浮きまくってんだけど……川崎さんはそんな私をよそに、店内へと足を踏み入れてゆく。
仕方ないので気まずい気持ちを引きずりながら、彼のあとを追った。
テーブルに腰を下ろすと、支配人らしき男が挨拶に訪れた。
どうやら川崎さんは、かなりの常連客のようだ。流石はお金持ちのオジサマである。
それにしても大事な話って一体なんだろう? まあ、青に関することなのは間違いない。
青と渋めのお金持ちオジサマ……もしかしてこの人、あの子のパトロン? うーん……あり得るわね。
ギャルソンに注文を伝える川崎さんを見つめながら、私は心の中で呟いた。
すると心の声が漏れたのか、パトロンオジサマは私に視線を合せてきた。
「作田さんは、なにか苦手なものはありますか?」
「苦手なもの?」
「嫌いな食べものですよ」
「ああ……いいえ、大丈夫です。私、好き嫌い有りませんから」
「それは素晴らしい」
彼はそういって微笑みを浮べた。
この渋めの笑みに落とされた女は一体何人いるのだろう……っていうか男もか。
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