青と葵

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暫くしてワインと共に料理が運ばれてきた。 食事中は当たり障りにない世間話が続く。 メインの鴨肉とトリュフのステーキには、正直かなりやられた。 ほっぺたが落ちるとは、まさにこのことである。 是非ともお値段が知りたいところであった。 そしてデザートも食べ終えて食後のエスプレッソが運ばれてきた頃、川崎さんはようやく話を本題へと移してきた。 「葵君は元気ですか?」 「葵君?」 「貴女と暮らしている少年の名前です」   偽名かも、って思ったことはあったけど……青って、本名は葵っていうんだ。 「ええ、元気ですけど……あのう、どうして私たちのことを?」 「勿論、調べました」 「調べたって……どうして?」 「依頼があったからですよ。私の雇い主からね」   このオジサマを雇うぐらいだ、依頼主は相当な資産家なのだろう。 それにしても、どうして青を……。
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