博多女の心意気

5/7
前へ
/189ページ
次へ
「私に葵君を説得してほしい、ということですよね?」 「ええ。勿論、お願いできますよね」 「ごめんなさい。あの子が嫌がってる以上、あなたたちに協力することはできません」 「28歳の独身女性と16歳の少年が同棲……博多のご両親や会社の同僚たちが聞いたら、さぞかし驚きそしておおいに悲しむことでしょうね」   川崎さんはテーブルの上に手を組むと、静かに私を見据えてきた。 その表情は、先程と同様にとても自信に満ち満ている。 私の身元関係もすっかり調査済みですか……流石に高給取りは違いますね。   しかもこのオッサン、おもいっきり私のこと脅してきてるわね。 それにしても同僚はまだしも、年老いた両親を取引材料の引き合いに出すのは反則でしょ……。   ……ブチっ! 頭の中で小さな破裂音がこだました。 このオッサンのいうことをきかないと、恐らく会社はクビになるだろう。 野郎とその後ろ盾は、それだけの権力を持っている。 アラサー女が無職になり、ショタコンの烙印をおされる……考えただけでも寒気がするわね。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1559人が本棚に入れています
本棚に追加