意地悪な神様

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どうして、私はいつもこうなっちゃうかなあ……。 もはやこれは神様のいたずら、とかいうレベルじゃない。 神様の嫌がらせ、といっても過言ではないだろう。   たしかに私は無神論者だ。神様の存在もたいして信じちゃいない。 そのくせ、都合のいい時だけ神様に頼ることが多々ある。 でもそれは私だけじゃないはずだ。世の中の大多数はそんなものだろう。   それにも関わらず、どうしていつも私だけこのようなお仕打ちを?  天にまします我らの父に、私は心の中でそっと問いかけた。   現在、私は某大型水族館のカフェにいる。 勿論、同居人の料理上手な自称性奴隷も一緒だ。 そして私たちの向かいには、元カレとその見合い相手の姿があった。   あり得ないフォーショット。これほど気まずい雰囲気を味わったのは生まれて初めてだ。 これはもう、一周回って逆に笑いがこみあげてくるレベルである。 どうしてこのような事態になった? それでは、時間を今日の朝食時に戻そう。 「ねえ、奈々」 「うん? なに」   青が作ったベーコンエッグを頬張りながら、私は小首を傾げた。 すると作田家のシェフは、姿勢を正しながらこちらを見つめてきた。
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