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「今日、デートしよう」
「デート? なによ、また急に」
「いいじゃん、せっかくの休日なんだから」
青はねだるように甘えた声をだした。
うーん、デートか……正直、いまはそんなことしてる場合じゃないんだけど。
とはいっても私ひとりが考えたところで、どうにかなる問題でもないしなあ……まあ、気分転換にどこかへ遊びに出かけるのも悪くないか。
「そうね。どうせ暇だし、どっかに行こうか」
「うんっ!」
「それで、青はどこに行きたいの?」
「水族館っ!」
水族館か……そういえば随分と行ってないなあ。
最後に行ったのは3年前――篤志の野郎と行ったのが最後だ。
あれはたしか初デートの時だったなあ……ああ、いかんいかんっ!
嫌なこと思いだしちゃった。まあ、もう吹っ切れてるからいいんだけどね。
「じゃあ、水族館に行こうか」
「うんっ!」
その後、私たちは少し遅めの朝食を終えると、身支度をして水族館へと向かった。
道中の青はよっぽど嬉しいのか、いつも以上に笑顔を浮かべていた。
あの弁護士がいったような ”笑顔を忘れた少年” といった面影は微塵もない。
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