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ちょ、ちょっと……嘘でしょ。目の前には飯塚篤志と、以前カフェで見かけた女が佇んでいた。
こないだはじっくり見れなかったけど……うーん、これはかなりの美人さんだ。
悔しいけど、正直ボロ負けです。いやいや、いまはそんなことなど、どうでもいいのだ。
問題は私の隣で不機嫌そうに唇を尖らせている、自称性奴隷の存在だ。
この子はあのカフェで昨日の私のように、篤志にコップの水をぶっかけている。
当然、野郎は青のことは覚えているだろう。そしてお隣の美人さんも……。
まったなあ。篤志だけならともかく、これはかなりきびしい状況だ。
元カレのきびしい眼差しを受け止めながら、私は心の中で溜め息を漏らす。
すると眉間にしわを寄せ固まったままの篤志に、美人さんが声をかけた。
「お知り合いですか?」
「ええ、ちょっと」
なにがちょっとよっ。がっつり3年も付き合ってたじゃないのっ!
私は心の中で叫んだ。恐らく顔はおもいっきり、引きつっていることだろう。
うん? っていうかその前にこの美人さんは、青のこと覚えてないみたい。
よし、それは好都合だ。ここは一刻も早くこの場から立ちさろうっ!
強引に青の手を引き、そそくさとその場をあとにしようとすると、なにを思ったのか美人さんが私に声をかけてきた。
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