人生最高の夜

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12時10分 社食。 「めっちゃ楽しかったなあ……」 「あっそ、そりゃようござんしたね」   私は目の前でうっとり顔を浮かべている有紀を、冷めた目で見つめた。 最近、男が出来たこの親友は、週末開けのたびにおのろけ話を披露する。 正直いって、そのての話はシングル女にとっては、不愉快以外のなにものでもないのだ。   因みにあの手紙を読んだ日から、早いもので2年が経過していた。 本日をもって、私もとうとう悪夢の30代に突入である。 料理教室のおかげで、その腕まえはいまやかなりのものになっていた。   だが相変わらず食べさせる男はいない……はっきりいってこれはゆゆしき問題である。 加えてこないだ実家の両親からは、見合い話を切り出された。 やんわりと断っといたが、奴らは諦めていないようだ。 四面楚歌――ったくどっかに、いい男でも落っこちてないかなあ……私は心の中で呟くと、溜め息交じりで昼食を続けた
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