人生最高の夜

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ほんの一杯のつもりが……今日が私の誕生日だと知ると、KARUのマスターはシャンパンを1本サービスしてくれた。 まあ、残すのも悪いしなあ……というわけで全部一人で飲んだ。   すきっ腹にシャンパン750mlとカクテル2杯――ベロ酔いとまではいかないが、かなりいい気分である。 腕時計に目を向けると、時刻は21時45分を示していた。 明日も仕事だし、そろそろ帰るか……。   会計を済ませて外に出ると、さっきほどの寒さは感じなかった。 アルコールというなの毛皮が、私を寒さから守ってくれているのだろう。   作田奈々・30歳。自分でいうのもなんだが、結構な詩人です。 そういえばあの子と出会ったのも、たしかこんな日だったあ……私はそう思いつつ、青と出会ったネオン輝く銀座通りに足を向けた。
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