俗物な私

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どうせ一回ヤッちゃってるんだし、別にいいじゃん、という開き直りの考え方も出来る。   だけど如何せんその行為自体の記憶がないため、私的にはヤッてないのも同然なのだ。 まいったなあ……私は髪の毛をかき上げながら、ミネラルウォーターを取りにキッチンへと向かった。   すると電子レンジの上には、胃薬とお粥のレトルトパックが置かれていた。 二日酔いで病んだ胃には最適な食事。 しかも卵と鮭の2種類がある。全く気の利く子だこと……。 「ちょっと奈々?」   よしっ、奮発して布団一式を買ってあげようっ! あの子も私と寝るよりそっちの方が――。 「ちょっと奈々、あんた聞いてんの?」   テーブルを小突く音で、私は我に返った。 向かいの席では、有紀が呆れた表情を浮かべている。 どうやら昨日の回想に夢中で彼女の声が聞こえなかったらしい。
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