俗物な私

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エレベータに乗り込むと、1階のボタンを押した。 今日の夕飯は……面倒だからコンビニ弁当でいいや。 因みに私は料理が全く出来ない。 いいや、厳密にいえばやれば出来るはずなのだが、いままでやってこなかったのだ。 無論これは世間的にいうところの、いい訳というやつである。   そういえば、あの子って好き嫌いとかあるのかなあ?……それはそうと、昨日あれだけお世話になったんだからコンビニ弁当ってのもなんだなあ。   そう思いつつ、腕時計に目を向けてみた。 17時半かあ……よしっ、いまの時間ならまだ間に合うわね。 私は本日の夕食をコンビニ弁当から、デパ地下弁当へと格上げすることにした。   アラサー女がなにお子ちゃまに気を使ってんだか……苦笑いを浮べながら、一人きりのエレベータの壁にゆっくりと頭を預けてゆく。 するとヒンヤリとした心地よさが伝わってきた。 「ああ、気持ちいい……」   私はそう呟きながら薄っすら微笑むと、柄にもなく昔の名曲を口ずさんだ。 「♪ 真赤なリンゴをほおばる、ネイビーブルーのTシャツ、あいつは、あいつはかわいい―― ♪」
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