眠れぬ夜に

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とはいうものの私に青を咎める権利はない。 なぜならもっとイターいことを、彼にやらかしているからである。 私は相変わらず呆けた表情で、シャンパングラスを傾けた。 「好き嫌いとかある?」   青は皿を手にしながら尋ねてきた。どうやら料理を取り分けてくれるらしい。 なんとお優しいことで……もしここに美少年好きのお金持ちがいたら、喜んで諭吉を差し出すことだろう。 私はそんな下らないことを考えながら、彼が取り分けてくれた料理に箸を伸ばした。 ……激ウマっ! 「美味しい?」 「うん。こんな豪華な料理は久々……」   私は改めて、テーブルに並べられた料理をまじまじと見つめた。 アンチョビ入りのオリーブ、ハモンセラーノ、真鯛のマリネ、フォアグラのテリーヌ等々、そしてお飲み物はピンドン……私の頭の中に素朴な疑問が浮かんだ。
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