眠れぬ夜に

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寝むれないし特にすることもないので、青の顔をじーっと見つめていると急に閉じていた瞼が素早く開いた。 見つめ合うアラサー女と美少年。その距離は吐息が直に感じられるほどに近い。 「あんた……もしかして寝たふりしてた?」 「うん」  青はあっけらかんといってのけた。こ、このガキ……。 「ねえ、手をつなごうよ」 「……ど、どうして?」 「そうすればきっと安心して眠れるよ」 「余計、眠れなくなるわよ……」  私の言葉に青は拗ねたように唇を尖らせた。 「じゃあ……リンゴ」 「……うん?」 「しりとりだよ、しりとりっ!」 「なんで真夜中にしりとりなの?」 「知らなかったの? しりとりしてると眠くなるんだよ」 「そんなの初めて聞いたけど……」 「ほら、いいから早く」 「じゃあ……ゴリラ」 「ラッパ」   深夜1時過ぎに、シングルベットの中でしりとりを繰り広げるご主人様と年下の性奴隷……シュールすぎる。 こうして私たちの同棲……いいや、奇妙な共同生活は深夜のしりとりと共に始まったのです。
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