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テレビの画面には、大して面白くもない休日の情報番組が映しだされていた。
壁掛け時計に目を向けると、時刻は12時ジャストを示している。
因みに青がマンションを飛び出してから、かれこれ2時間が経過していた。
やれやれ、我が家のシェフは一体どこまで買い出しに行ってるのやら……インスタントのコーヒーに口をつけながら、午後のひと時をとまどろむ。
すると不意にインターフォンが鳴った。
青かな? いいや、あいつは鍵を持って行ったはず……じゃあ、誰だろう? 取り合えずモニターを覗き込んでみた。でも誰も映っていない。
「どちら様ですか?」
そういった瞬間、モニターには見慣れた顔が映り込んできた。
相手は私の親友にして同僚の清水有紀である。
「おっすー、びっくりした?」
有紀は悪戯小僧のように微笑みを浮かべた。
一方、私といえば顔面蒼白のボー立ち状態だ。
「ど、どうしたのよ、急に」
「ちょっと近くまで来たから寄ったの。ねえ、それより寒いんだから早く開けてよ」
「だ、だめっ!」
「なんでよ、誰かいるの?」
「ううん、誰もいないけど……」
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