不味い朝食と、波乱の午後

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「なによ、全然散らかってないじゃん」 「そ、そう? 取りあえずコーヒーでもいれるね」   私はキッチンへと向かうと、青のスマホをジーンズのポケットに滑り込ませた。 そして今後について考えを巡らせる。といっても策はない。 青は恐らくもうすぐ帰ってくるだろう。取りあえず有紀をここに残し、私はマンションの前で彼を待つ。 そして事情を説明。よしっ、これしかないっ! 「ごめん、ちょっと用事思い出したから、あんた少しの間ここで待ってて」 「ちょ、ちょっとどこに行くのよ」   有紀が慌ててこしを上げようとしたその時、無情にも玄関のドアが開いた。 そして昼食の食材を抱えた美少年が ”ただいまー” と大声を出したのです。 私の思考は緊急停止。一方、有紀は驚きの余り口をあんぐりとさせていた。 「ごめん、遅くなって。ルッコラがなかなか売ってなくてさあ――」   能天気な声と共に青がリビングに入ってくる。 それと同時に状況を把握した有紀が素早く行動に移した。
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