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私は、完全に声を失った。
もちろん、十年以上も会っていなかったのだ。
お互い、あの頃とは、外見も含め色々と変わったに違いないだろう。
そして、それと同じくらい、その年月の間には様々な事があったはず。
当然、彼女が恋をし、その結果お腹に命が宿っていたとしても
何もおかしくはない。
しかし――。
正直、私には今の彼女の姿を思い浮かべようがなかった。
だが、どうしてその彼女が自分との再会を望んだのか。
どうして彼女の言葉を、彼女の切なる望みだと田村は感じたのか。
そして、四十という節目を迎える私たちの年齢。
これらの事が、重なり合うように
私に新たな衝撃となって圧し掛かってきた。
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