異邦人

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 男は稲光と雷鳴とともに突然アオの目の前に現れた。  漆黒の長い髪、透けるように白い肌、不思議な色の瞳。山の奥深くにある沼のような深い、深い碧。  綺麗な男だ。短い人生だがこれほど綺麗な男、いや、人を見たことがない。  鮮やかな着物を身に纏い、眩しいくらいに光り輝いている。肩には変な生き物を乗せていた。  男はアオに向かって手を差し伸べる。差し出された手の平は大きく、袖から覗く腕は逞しい。  迎えが来たのだとアオは思った。  とおちゃもかあちゃも、アオが幼い頃に迎えが来て行ってしまった。あの時は真っ黒な男たちだった。そして二度と戻って来なかった。  おれはこの金色に光り輝く男に迎えられてどこに行くのだろう。  男を見上げながらぼんやりと思っていた。
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