奇食

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形はまんま。脚も翅もむしっちゃいないし、火が通った事でバッタの身は何故かピンクに色付いている。不思議と味の方も食感もエビに近いんだな。 パリパリして美味かったよ。 現地のオバサンを料理の腕が良いとやたら褒めながら陽気に喋りまくって食べたさ。喜んだオバサンは自家製のお酒まで持ち出して来るしさ。 酸っぱ味が有って薄めたどぶろくみたいな見た目で、でもなんかスパイシーさの有る酒だった。樹の根っこを醸すとか聞いたが、メインは虫だから名前は忘れた。 飲んだらべろべろ。 そこから蝉は食うわ、タガメは食うわ、樹の中に住むぷりぷりっとした幼虫は食うわ。こいつが一番美味かったかな。何でもカミキリムシの幼虫らしかった。正しい名前は忘れたけど、素揚げにすると表面はパリッと、中身はとろりと濃厚でクリーミー。 オレの記念すべき一回目のコラムで取り上げた食材、韓国でおやつに売られている蚕の蛹なんか目じゃなかった。 虫の中ではあれが一番だった。どうやらファーブル先生も食べたってね。 昆虫食で有名なのに、最も抵抗が有るのはスズメバチの幼虫だろうか。あれの味はウナギの白焼きに似ているし、親はバッタと同じくエビに似る。
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