奇食

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何でも若いモノの方が良いのかな、蝉はオスとメスじゃ断然メス。それも産卵前のな。翅はむしられて、これも油炒めで出て来たが腹の中にぎっしり詰まった卵が美味かったね。 味? 蝉は初心者向けだな、ナッツの風味で見た目以外は抵抗が少ない。 こんなんでよくコラムなんかやれているなと自分でも思うよ。 まあ、大抵のユーザーは興味本位。ほんのちょっとだけ何ソレに似ているって書けば良い。 ただのゲテモノ食いコラムだ。 見たくない奴も多いから、片隅にひっそりと。原稿用紙一枚分も文字は書かない。コラム欄の半分は写真の掲載場所だしね。 でもさ、月一で仕事をきちんとこなしていたからか、出版社にも信頼を持たれて最近じゃ現地で日本語の出来る通訳を雇える身にもなった。 お陰で今回は未開の地に通訳連れての二人旅。 珍しい日本語話す現地人と陽気にやりながら道なき道を進んだよ。 目的は、まあ御多分に漏れず芋虫を食べる為。 ちなみに日本でも取材して、やったぜ各種芋虫食い。 この時の回は豪華バージョンで、誌面の見開き半分を貰っての仕事だった。ま、写真メインだから文才無くても何とかなったね。芋虫の類いは、多くが食草にしている葉っぱの風味がするしね。桜風味の毛虫は絶品だった。
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