野心

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どこにでもある中小企業。 T会社の人々は、仕事に関してすべてが保守的だった。 上司は自分の地位を守るためにリスクを冒すことをしない。 部下も他の社員と足並みをそろえるように新しいことに取り組もうとしない。 何かを始めれば、それだけの苦労があると分かっているからだった。 結果、T会社の社員の中には野心というものがおよそ存在しなかった。 そういった中、急遽中途採用が決まったエス氏。 彼は入ってくるなり、すごい勢いで仕事に取り組んだ。 T会社にはいないタイプの人間だった。 仕事は誰よりも出来、1分1秒たりとも無駄にしないような集中力も併せ持っていた。 神経を研ぎ澄ませ、少しでも何かを得てやろうという気構えが見て取れる。 なぜ、こんな人間がうちの会社に。
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