その災厄に、名前は無かった

7/7
前へ
/10ページ
次へ
 美しい警官は、彼女の腕をそっと振りほどくと、踵を返して鉄塔の階段へと向かいました。 「あの二人は?」  逞しい警官が慌てて後を追いました。 「放っておけ」 「いいのですか、それで?」 「構わん。今夜は、聖夜だ」 「は?」  突拍子もない返答に、逞しい警官が驚きました。 「全員、さっさと帰宅させるのだ。人間でいたいなら、な」  美しい警官の鞄には、何軒ものお店を回って選んだ、最愛の子供へのプレゼントが入っていました。             ~ END ~
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加