いと

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ふたつのまなこに手を当てて こんな世界からかくれんぼ 鬼さんどちらかあてもない 手鳴らすはどちらか ご存知ないか 空虚な雨に身を濡らす 実のない言葉に温度はなくて 知らない誰かの温もり残る 左手小指には細い糸 手繰ってみると先がない ぷつんと切れた細い糸 ただ手の鳴る方見て歩き行く 会いたいと願えば離れていく さよならすらも言えなくて 笑った顔は泣いている 糸と糸とを蝶々結び 綺麗なふたつの丸い円 円は縁まで結べない 近づくたびに円は離れて ふたつの細い糸に戻ってく かくれんぼした心は いつまでも同じ場所に 鬼さんこちら手招く方へ 解けた糸をもう一度結んで 。
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