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二人の生活も、だいぶ、馴染んだ
柔くんの借りている
このマンションの一室を
初めて訪れた時はわからなかった
マグカップの場所や自分の座る位置に
戸迷うことは、もう、ない
そして柔くんのことにも
結構詳しくなった
朝目が覚めるまですごく時間がかかること
珈琲には砂糖とミルクをたっぷりいれること
目玉焼きにはケチャップ派なこと
(悔しいけれどこれは、美味しい)
それから柔くんは
面倒臭がりと几帳面が
入り交じった人間だった
それを隠す術も愛嬌もあるから
周りは気付かないのだけれど
シャツとかネクタイは
畳んでないと落ち着かないくせに
クローゼットに仕舞うことはよく忘れる
おまけにいざ身に付けるときに
糸屑や皺が付いていても気にしない
はじめの頃は
彼のそういった、矛盾、が気になって
喧嘩した時には「攻撃の材料」
にしたりもしたのだが
お互いに我慢したり
相手に合わせて変化(妥協ともいう)したり
しているのだと思えば
そう目くじらをたてることもないと気付いた
だから今、日々は穏やかで
私は幸せ
これからもずっとこんな日々が
続いていくのだろう
そしてどこかの区切りで結婚ー…
30、という数字が
現実味を帯びてきたこの頃
なんとなくそんな未来を
想い描くようになっていた
それが柔くんとだったら、素敵だ
と心から思う
彼に出逢えた私はラッキーだとも思う
本気で、そう、思う
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