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しばらく二人、無言で煙草を吸っていた
自分が望んで隣に来た癖に
口を開かない彼が理解不能で
何か話しかけようにも
彼の興味の対象もわからないし
そもそもこちらから話せば
なんだか負けなような気もして
結局無言のままの空間に
気まずさと苛立ちを覚える
それでも何とか間を埋めようと
決意したとき
彼がやっと口を開いた
と思ったら
「水元さんは、一人がすきなの?」
こんな言葉だったもんだから
怒りを通り越して呆れてしまい
知らず知らず肩に入っていた力も抜けて
私は笑い出していた
「、ふ…あはは」
急に笑いだした私に
彼はきょとんとして首を傾げる
「俺、なんか面白いこと言った?」
「…っ、…ふふ…はははっ、ううん、違うの」
目尻にうっすらと涙まで浮かんでしまって
さすがに失礼かなと思う
「何が違うの?」
少し拗ねたような顔で問うた彼に
ふと真面目に考えてみても
何が面白いのかイマイチわからない
「…なんだろ、」
「何それ、変なの」
「…ふ、」
「…、っ」
結局ふたりで顔を見合わせて
吹き出してしまう
「私、花田君って
もっとチャラいのかと思ってた」
「俺だって水元さん、見た目が冷たいから
一人が好きなのかと思って、
ここ入ったとき超緊張したんだけど、!」
「なによ、わざとらしいと思ったけど
本気で怖がってたの?」
気がつけば本音で話していた
全然面白くないはずなのに
ずっと笑っていた
「うん、でも、へーき、」
「水元さん、今、すごく良い顔で
笑ってくれてるから」
春の陽射しのように
ほわりと広がった笑顔に
誰かの隣にいることが
嬉しいなんて感覚が、久しぶりだと思った
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