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「…僕は、黙ってるから」
「私も絶対言いません」
やがて口を開いたのは丸山さんで
ひと時の躊躇いも挟まないよう
私も誓うように呟く
貴方を傷つけることは、絶対に
たとえ私の心が
憎しみに塗り潰されようとも
絶対に、絶対に
「ありがとう」
安心したように笑う丸山さんを見て
ちくりと胸が痛んだ
この人は
どんなに最低だとしても
タケさんのことを友人として
心配している
私は
彼を守るフリをして
友人のフリをして、本当は
彼のことを愛していると
認めるのが怖いだけなのかもしれなかった
今の穏やかな関係が崩れてしまうのも
愛していない人間とセックス出来ることも
そして恐らく彼が
私を愛することなどないことも
全てを
認めたくないだけなのかもしれない
「行こう、翠ちゃん」
残りのメンバーが
二つめの課題の小屋の前で
手招きをしているのに気づいた丸山さんが
急かすように私の名前を呼ぶ
「あ、はい」
まるで遠ざかってしまえば
先程の出来事などはじめから
起きなかったことになるかのように
小走りになった丸山さんの
背中に返事をした
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