月夜の晩に

12/14
前へ
/14ページ
次へ
「" 内縁の妻 " って、明らかに おかしいだろ!! 少しは気にして、調べろよ!!」 「危害を加えられたなら調べるけど、特に何かされた訳じゃねぇし。……噂だと思ってたんだよ! ……でも、もしかしたら本当に居るのかもな……」 手にした減らない酒を見つめたあと、上着のポケットから手紙を取り出し、三好はテーブルの上に置いた。群青色をした封筒。その右下の端には、真っ白な折り紙の鶴が二羽隣同士で並んで、小さくプリントされている。 「この封筒、見覚えないか?」 「あ!! これ……」 「やっと見つけたんだ。俺とお前の《 共通点 》」 「……《 トワコ 》か!!」 この封筒は世界に一つしかないオリジナルの物。それをデザインしたのが、当時大学生だった《 トワコ 》だった。三好と杉野の共通点は、二人共 トワコの元彼だということ。 付き合った時期は別々だが、三好とトワコが付き合っている時に杉野にトワコを紹介していた。だからこそ、二人をトワコは熟知している。 「……アイツとは付き合い長かったからな……」 「俺もだ。……それに、最近アイツに会わなかったか?」 三好の質問に杉野は「お前も会ったのか!?」と返した。そう、二人はトワコに会っていたのだ。それも、決まって二人が【 失恋 】した時に彼女は現れた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加