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そして、今日も。三好が家に来る事もあり、杉野は朝から掃除に励んだ。掃除機のスイッチを切った時、アパートの前に停車しているバイクの音が聞こえ、ポストへ向かうと、案の定、郵便局員が届けに来ていた。
「おはようございます。いつも ご苦労様です」と声を掛け、ポストの中身を取り出し、再び部屋へと戻った。
「その時、ポストに変わった様子は?」
「特に無かった。お前との待ち合わせ場所に行く時も確認したけど、空だったし。……どっから来たんだろうな、これ全部」
二人の間で異様な存在感を放つ " 山 "。一心不乱で運んできた為、気付かなかったが、封筒の色も大きさも様々だ。定番の茶封筒や白封筒を始め、花柄の可愛らしい桃色をした小ぶりの封筒から、一際目を引く真っ赤な封筒まで、バリエーションに富んでいた。
三好は意を決して、その中の一つを手に取った。見た目は、どこにでもある茶封筒。
「あれ?」
何かが、おかしい。表にも裏にも、切手は疎か宛名も差出人も書かれていないではないか。
「まさか……これ全部……」
一つ一つ確認していくも、やはり どれにも宛名も差出人も書かれていなかった。これで郵便で来たのではない事が明白となったが、とするなら……だ。これら全て、何者かによって、直接ポストに投函されたという事になる。
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