月夜の晩に

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「どうやら、お前も忘れられない人が居るみたいだな! ……よし、今夜はその話題で呑もう!」 「 " お前も " って事は、三好も居るって事だな! たまには、恋の話題もいいかもな! ……おっと、その前に。こいつを読んでからにしないと」 ヒラヒラと便箋を杉野は振り、再び二人は文面に目を向けた。そこには、書いた者の思いがズッシリと認(したた)められていた。 【私は、貴方を待っている。けれど、貴方は来る気配が無い。待つのは疲れた。会いに行ってもいいですか? 貴方に会いたい……会いたい……】 「何とも情熱的な……」 「……愛の深さを感じるよな……」 「おい、杉野! お前宛の手紙だろ? そんな他人事みたいな事言って 」 「いや……俺宛じゃないと思う。" 桜の木の下、初デートの待ち合わせ場所 " ってあるんだけど、春に付き合い出した事、今まで一度も無いんだ。バレンタインにはフラれるから……」 三好の顔色が一瞬で青ざめた。何か思い当たる節があるのだろうか?
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