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突然、暗かったテレビ画面に光が生まれ、CMの軽快な音楽が流れ出した。これにも、男達は「ひっ!」と驚きの声を漏らす。
「ビックリした……」
「ん? もうこんな時間か。観たい番組があって、予約してたんだった。……手紙は忘れて、呑み始めよう」
「あぁ、そうだな……」
壁に掛けられた時計を見れば、もう夜の7時を指していた。手紙の山に便箋を戻すと、テレビがある隣のリビングへと杉野は移動し、買ってきた つまみや酒などをテーブルにセットし始めた。手紙に気を取られている間に缶ビールは生ぬるくなっていたため、冷蔵庫行きとなった。
気になることがあるのか、三好は山の前に佇んだまま。そして、こっそりと開封していない手紙を一通、上着のポケットに入れ、杉野の待つリビングへと向かった。
「おー、始まった! ………あれ!?」
「どうした? あ、これ……」
始まった番組を観て、二人は顔を見合わせた。
「俺が予約したのは、" お笑いヒットパレード " だ! このドラマは三好が好きな刑事シリーズだろ?」
「……あぁ。杉野、サスペンス苦手だったよな……」
サスペンスのテーマソングが静かな部屋に鳴り渡る。
予約したはずの番組が入れ替わる……こんな奇妙な事があるのか?
杉野は立ち上がり、部屋の隅から隅を汲まなく観察して回った。細かい男だからこそ、誰かが触れた箇所は直ぐに分かるのだ。
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