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「どうにもならぬのか」
帝の声に公卿らがざわめく。
「このままでは、
なりませぬな」
きっぱりと言い切る晴明に、
周囲が鼻白んだ。
「私が」
沈黙を破って立ち上がったのは博雅。
無言で見上げる晴明に、
軽く肯いてみせた。
しばし後。
水浅葱の狩衣に着替えた博雅が庭に愛馬を引き出してきた。
名は北斗。
庭の見える紫宸殿の広縁に女官達がどっとばかりに押しかける。
格子戸を僅かに開けて、
その隙間から博雅を一目みようと押し合った。
「まぁ、
あのお姿の美しいこと」
「淡いお色が良くお似合い」
「あら、
私は若緑の方が似合うと思う」
いや紫だ、
梅染だと軽い口論が始まる。
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