第1章

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「博雅様には晴明様がついておられる。 ぜったい、 大丈夫」 さて庭では。 件(くだん)の鞍を付けた途端、 北斗が怯えるように嘶いた。 博雅が愛馬の首に腕を回して宥める。 衆目の中博雅が鞍に跨った。 振り返って晴明を見る。 晴明が肯くのに、 軽く笑い返して鐙(あぶみ)を入れた。 風のごとく北斗が走り去る。 博雅を見送った人々が振り返ると、 晴明の姿はもうどこにもなかった。
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