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どこまでも続く草の海を、
馬と一体になって走っている自分がいる。
そのすぐ後ろを別の馬が走っている。
ひどく懐かしく慕わしい誰か……。
と、
風の向きが変わり、
物の燃える異臭が鼻をついた。
はっと見上げる夕空に昇る黒煙。
……兄者ッ!
背後で叫び声が上がる。
馬の前に、
ばらばらと鎧を付けた兵士が飛び出てくる。
……馬と鞍を奪えッ!
突き出された槍に脇腹を突かれる。
激しい痛みに息が止まる。
どうっとばかりに地面に引き倒されて。
これは自分の見ている風景ではないと博雅は気づいたが、
もはや感覚が同調してしまっていた。
嘶く愛馬が連れ去られる。
霞む目で見上げれば、
空を覆う真っ黒な煙。
村が、
焼かれている。
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